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2026.10.26

百貨店を、物語が生まれる場所へ。XRホラー「迷界デパート」で描くIP創出の未来

百貨店を、物語が生まれる場所へ。XRホラー「迷界デパート」で描くIP創出の未来
商品を買うだけではなく、訪れたくなる体験があるーー。リアル店舗に求められる価値が、いま広がろうとしています。2026年夏、大丸松坂屋百貨店は、株式会社日本XRセンター、株式会社闇とともに、XRホラーアトラクション「迷界デパート〜終わらない記憶が彷徨う、無限の百貨店迷宮〜」を大丸東京店で開催しました。 その狙いは、一過性のイベントで話題を生み出すことにとどまりません。空間そのものを物語の舞台に変え、来店者を異世界へと誘うこの企画は、新たな来店理由を生み出すとともに、百貨店発のオリジナルIPを育てることを見据えています。「迷界デパート」の誕生秘話と、その可能性について、プロジェクトを担った4名に聞きました。

執筆:三ツ井香菜 編集:末吉陽子 撮影:金田裕平

 

 

買い物だけではない、新たな楽しさを。百貨店発のオリジナルコンテンツの可能性


 

──まず、大丸松坂屋としてXR領域に取り組むことになった背景を教えてください。

 

大丸松坂屋百貨店 DX推進部 デジタル事業開発メタバース担当 平井直樹氏(以下、大丸松坂屋・平井):もともとPARCOで始まり、J.フロントリテイリング(JFR)を経て、大丸松坂屋百貨店のDX推進部での取り組みへとつながりました。

 

DX推進部ではこれまで、VTuberやメタバースなど、さまざまなデジタルコンテンツを生み出してきました。その中で次に考えたのが、百貨店というリアルな施設そのものを生かし、デジタルとリアルを掛け合わせた新たな体験価値をつくれないか、ということです。

 

XRは、デジタル技術によって没入感のある空間体験を生み出せる技術ですので、この可能性を活用し、施設そのものに紐づくオリジナルコンテンツをつくれないかと考えました。それが、今回の企画の出発点でもあります。

 

大丸松坂屋百貨店DX推進部関連の記事はこちら

 

日本XRセンター 代表取締役 小林大河氏(以下、日本XRセンター・小林):日本XRセンターは、XRコンテンツの企画や開発、運営を行うほか、自社でXR体験施設の運営も行っています。コロナ禍やECの拡大を経て、商業施設に足を運ぶ理由や過ごし方が変化する中、百貨店をはじめとする商業施設では、その場所を訪れることで楽しめる体験型エンターテインメントへのニーズが高まっています。また、最近の夏は暑すぎるので、「涼しい屋内施設で過ごしたい」という生活者側のニーズも増えていますね。

 

もう一つは、技術の進化により、以前より短時間で会場を設営・運営できるようになったことです。今回のイベントでは、当日の朝、会場に入って、セットアップしてオープンさせています。

 

ニーズの高まりと技術の進化が重なったのが、ちょうど今なんだと思います。

 

XRホラーイベント「迷界デパート」の中心メンバーが語り合った。上段左から、大丸松坂屋・平井直樹氏、日本XRセンター・小林大河氏、下段左から、闇・濱田瑠衣氏、大丸東京店・山﨑裕加氏

XRホラーイベント「迷界デパート」の中心メンバーが語り合った。上段左から、大丸松坂屋・平井直樹氏、日本XRセンター・小林大河氏、下段左から、闇・濱田瑠衣氏、大丸東京店・山﨑裕加氏

 

 

大丸東京店 営業推進部 コンテンツ・イベント企画 マネジャー 山﨑裕加氏(以下、大丸東京店・山﨑):大丸東京店は、東京駅直結という立地の特性から、出張や観光、訪日外国人などのお客様が多くいらっしゃいます。そうしたさまざまな人が交錯する場所だからこそ、モノだけでなく体験を提供し、それが記憶に残ることで、大丸東京店に対するイメージやブランディングにつながっていったらいいなという思いがありました。

 

ただ、東京店の催事場は他店と比べると狭いんですね。それが何かを体験する際のハードルでした。そこで着目したのが、コンパクトな空間でも一つの世界を体感できるXRです。広さの問題を解決できるという点からも、XRを活用したオリジナルコンテンツにチャレンジする価値がすごく高いと思いました。

 

今回の企画も没入するとかなり広い空間のように感じられますが、実際には4m×6mのスペースの中で体験が完結しています。

 

催事場がXRのイベントスペースに。4m×6mのスペースを3か所設置

催事場がXRのイベントスペースに。4m×6mのスペースを3か所設置

 

 

──XRのコンテンツとして、ホラーを採用したのはなぜでしょうか。

 

大丸松坂屋・平井:恐怖や違和感を伴う表現は、XRならではの没入感と相性が良いからです。XRならではの体験価値をわかりやすく伝えることができます。

 

また、インバウンドのお客様にも体験していただくことや、IPとして海外展開を念頭に置くと、日本のホラーは海外に向けて発信しやすいテーマの一つだと考えました。

 

さらに今回は、大丸松坂屋オリジナルのコンテンツを開発することが大きなテーマでした。ホラーは創作の自由度が高く、さまざまな世界観や表現に挑戦しやすいジャンルです。闇さんにもお力添えいただくことで、質の高いコンテンツをつくれるのではないかという期待がありました。

 

「今回は大丸松坂屋がオリジナルコンテンツをつくり、事業として展開することが大きなテーマ」と語る平井氏

「今回は大丸松坂屋がオリジナルコンテンツをつくり、事業として展開することが大きなテーマ」と語る平井氏

 

闇 コンテンツ事業部 プロデューサー 濱田瑠衣氏(以下、闇・濱田):ホラーは、特に10~20代に人気のコンテンツです。以前は、「怖がることは恥ずかしい」といった感覚もあって、お化け屋敷に入りたがらない人が多かったのですが、今は怖がること自体を楽しむ、むしろ思いっきり怖がりたいという方が増えています。

 

商業施設にとっては、若い世代に足を運んでいただくきっかけにもなります。当社としても大丸松坂屋さんとご一緒することで、これまでにない形でホラーの世界観を届けられる可能性に、魅力を感じました。

 

大丸東京店・山﨑:悲鳴が上がるような催事は、東京店では初めてのことです。同じフロアのギフトセンターや上の階のレストランまで、「キャー」という声が響いてくる(笑)。これは、ホラーならではの出来事です。周辺の売場の皆さんにはご理解、ご協力いただき、本当にありがたかったです。販売員の皆さんも、お客様に「今、お化け屋敷の企画をやっているんです」と説明してくださって、結果的には、その悲鳴も企画を知っていただくきっかけの一つになったのではないかと思います。

 

「XR×ホラー×百貨店の三つのテーマが合わさった企画で、新しさと意外性があって、闇のXにも大きな反響がありました」と語る濱田氏

「XR×ホラー×百貨店の三つのテーマが合わさった企画で、新しさと意外性があって、闇のXにも大きな反響がありました」と語る濱田氏

 

 

百貨店の日常を異界の入口に。世界観をつくる告知と空間演出


 

――「迷界デパート」は、百貨店の新人夜間警備員として従業員用エレベーターに乗り込み、異世界へ迷い込んでいく……というストーリーです。恐怖だけでなく、どこか懐かしさも感じさせる演出が印象的ですが、その世界観はどのように生まれたのでしょうか。

 

大丸松坂屋・平井:強く意識していたのは、百貨店でやるからこその意味を感じられるコンテンツにするということです。ロケーションとコンテンツを紐づけて、「この場所に来たからこそ体験できる」ことを感じてもらいたいと考えていました。

 

闇・濱田:ストーリー制作でこだわったのは、百貨店の日常と地続きにすることです。百貨店には印象的なエリアがいくつもあります。私も小さいころに家族で百貨店に遊びに行ったときのことを思い出してみると、屋上遊園地に行って、デパ地下でお菓子を買って、お買い物して、レストランで食事して……と、素敵な思い出として残っているんですよね。そんな記憶が蘇るような体験にしたいと考えました。

 

また、細部にもかなりこだわっています。当社が手がけるお化け屋敷では、美術や施工にも力を入れ、古びた雰囲気を出すために「エイジング加工」を施しています。ただ今回は百貨店の催事場ということもあり、壁面や会場そのものに手を加えることができません。

 

そこで、小物などを持ち込みながら空間を演出しました。置いてある紙にもストーリーの中に出てくる女の子の特徴が書かれているなど、実はかなり細かい部分までつくり込んでいます。

 

日常の百貨店から少しずつ異界に入り込んでいく。闇が制作した小物にはストーリーを深く楽しむための仕掛けが隠されている

日常の百貨店から少しずつ異界に入り込んでいく。闇が制作した小物にはストーリーを深く楽しむための仕掛けが隠されている

 

大丸東京店・山﨑:百貨店でホラーを展開するには、社内的にも一定のハードルがあります。血や死を直接想起させる表現はもちろん、百貨店そのものにネガティブな印象を残すような演出は避けなければなりません。

 

体験がトラウマになって、「二度と行きたくない店」と思われてしまっては元も子もありませんから。今回は、怖さの中にどこか懐かしさを感じられる、郷愁と恐怖が交差するような作品になったので、その点でも良かったと思います。

 

――限られたスペースの中で没入感を高めるために、どのような工夫をされたのでしょうか。

 

闇・濱田:限られたスペースの中で、参加者にどう動いてもらい、物語を展開していくかには頭を悩ませました。考え抜いた末にたどり着いたのが、エレベーターを起点にするという発想です。

 

エレベーターなら上下に移動できるので、その特性を生かして、さまざまなエリアや過去の時代を巡るストーリーにしました。これにより、限られたスペースと10分という短い時間の中でも、密度の高い体験になったと考えています。

 

体験者は警備員となりエレベーターで移動する。VR空間内で他の体験者の動きも見えている

体験者は警備員となりエレベーターで移動する。VR空間内で他の体験者の動きも見えている

 

 

大丸松坂屋・平井:場所と時間に制約がある中で、世界観を損なわずにどう体験を届けるかは、企画段階から重要なテーマでした。そこはかなり時間をかけて考えましたね。

 

実際の百貨店を舞台にしているからこそ、現実から異世界に入っていく過程のグラデーションを大事にしました。ヘッドマウントディスプレイを装着していきなり異世界がスタートするのではなく、催事場の受付からXRの体験エリアに行くまでの待合所でも「違和感」を演出することで、まさに“現実の拡張”を演出できたのかなと思います。

 

コンテンツの中身ももちろん大事ですが、その外側でも雰囲気をどうつくっていくかということは、今後も大事にするべきだなと改めて思いましたね。

 

トータルな世界観をつくる。闇のこだわりと百貨店の装飾が本領発揮

トータルな世界観をつくる。闇のこだわりと百貨店の装飾が本領発揮

 

 

――XRは体験してみないと魅力が伝わりにくい面もありますが、世界観や魅力をどのように来場者へ届けたのでしょうか。

 

日本XRセンター・小林:おっしゃる通り、体験してもらえればXRの魅力を理解していただけるのですが、体験したことがない人に伝えることがすごく難しいんです。

 

ただ、「迷界デパート」の場合は、XRだと思わずに、シナリオや世界観に興味を持って来場された方も多かったと感じています。でも、僕はXRという手段ではなく、コンテンツの中身で勝負することが、正解だと思っているんです。

 

PRという意味では、大丸東京店の1階にあるメインウィンドウの広告も、かなりインパクトがあったと思います。警備員の制服を着たマネキンが驚いている様子を表現しているのですが、それを見て「体験しに行きたい」とおっしゃる方もいました。

 

いつもと雰囲気の違う1階のウインドウに、多くの人が足をとめた

いつもと雰囲気の違う1階のウインドウに、多くの人が足をとめた

 

 

大丸東京店・山﨑:今回の企画を絶対に成功させたかったので、ウインドウやデジタルサイネージ、ポスターなど、PR手段は全部使いました。

 

メインウィンドウを写真に撮って、SNSに投稿してくださる方もとても多かったです。また、たくさんの方から「デジタルサイネージの広告の前で『こんなのやってるんだって』と立ち止まってしゃべっている人を見たよ」と聞きました。

 

日本XRセンター・小林:デジタル上の告知でも、しっかりと雰囲気をつくり込んでいました。「迷界デパート」のX公式アカウントでは、「XR」とも「大丸東京店で開催」とも一切書かず、本当に警備員を募集しているかのような投稿をしたのですが、そのインプレッション数は1,000万を達成しています。

 

告知の段階から「おもしろそう」という雰囲気が漂い、会場に行くと内装を見た瞬間からさらに期待が高まる。コンテンツを体験した後も、会場を出るところにストーリーから出てきたようなマネキンが置かれているーー。最初から最後まで、一連の体験として楽しめるような仕掛けになっていることが、すごく大事なのだろうなと思いました。

 

「XRをまだ体験してない人を引きつけるのは難しい」と語る小林氏。SNSの発信からリアルの雰囲気づくりまで一連の展開は、XR業界からも注目された

「XRをまだ体験してない人を引きつけるのは難しい」と語る小林氏。SNSの発信からリアルの雰囲気づくりまで一連の展開は、XR業界からも注目された

 

 

 

大丸東京店をショーケースに。百貨店発IPの可能性を広げる


 

――「迷界デパート」の手応えをどのように受け止めていますか。

 

大丸松坂屋・平井:体験人数は目標の5,000人を大きく上回り、約6,000人に達しました。特に、普段は百貨店にあまり足を運ばない10~20代やカップル、これまでXRに関心を持ちにくかった女性層にも来ていただけたことは、すごく大きかったと思っています。

 

大丸東京店・山﨑:私は、ご家族連れが目立ったことに驚きました。大丸東京店は、近隣にお勤めの方や出張・旅行のお客様が中心ですが、「迷界デパート」には朝からたくさんのご家族連れにお越しいただきました。体験後には、そのまま12階のレストランで食事をしていかれた方もいらっしゃったのではないかと思います。そうした館内への波及効果も感じましたね。

 

闇・濱田:体験した後は、感想を言い合いたくなると思うんです。その中で、親世代には、かつて百貨店で遊んだ思い出を振り返ってもらい、屋上遊園地を知らない子どもたちには、XRを今の時代ならではのエンターテインメントとして楽しんでもらう。そうやって、世代を超えて百貨店での体験を共有してもらえたらと思っています。

 

XR体験が、今の子どもたちにとって、かつての屋上遊園地やお子様ランチのように、家族で過ごした懐かしい思い出として残ってくれたら嬉しいですね。

 

大丸松坂屋・平井:実際に体験した方からは、「百貨店でこんな体験ができるのがおもしろい」「ここに来たからこそ体験できた」といった声が届いています。百貨店という場所そのものを生かした体験をつくるという狙いが、しっかり伝わったのではないかと感じています。

 

奥行きのある空間から、何かが潜んでいるような不気味な雰囲気が伝わってくる

奥行きのある空間から、何かが潜んでいるような不気味な雰囲気が伝わってくる

 

日本XRセンター・小林:世界的に見ても、体験する場所そのものと結びついたXRコンテンツは少ないです。そのため、百貨店を舞台にしたXRを百貨店で体験すること自体に、ほかでは得られない体験価値があります。しかも、そのコンテンツを百貨店自ら手がけたわけですから、非常に新しい試みだと思います。

 

さらに、大手町や丸の内で働く人や出張客などが利用するイメージが強い大丸東京店で成功を収めたことには、大きな意味があります。

 

今回実施した催事場も、普段は「スーツ2着セール」などビジネスパーソン向けの催事が定番だったそうなので、そこでエンタメ企画を展開すること自体が新鮮でした。正直、「本当にここでやるの?」という驚きと不安がありました。

 

でも、この場所が皮切りになったことは、とても良かったと思います。もし、渋谷で成功したとしても、「渋谷だからね」で終わってしまいます。大丸東京店で成功できたのであれば、どこの百貨店でもできるなと思いましたね。まさに、XR業界の度肝を抜いた結果となりました。

 

大丸東京店・山﨑:あまり意識していませんでしたが、言われてみれば、たしかに意外かもしれません(笑)。東京店でこうした新しいコンテンツに挑戦することには難しさもありましたが、皆がこの企画の成功を信じて全力を尽くしたということがこの成功につながっているのかなと思います。結果として、東京店で成功したなんてすごいと言ってもらえるのなら、最高ですよね。

 

「売場、企画、施設運営などできるだけ多くの人に体験してもらいました。みんなで面白がって、応援してくれたことが成功のカギ」と振り返る山﨑氏

「売場、企画、施設運営などできるだけ多くの人に体験してもらいました。みんなで面白がって、応援してくれたことが成功のカギ」と振り返る山﨑氏

 

 

――今回、なぜそこまでの成功を収められたのだと思われますか。

 

大丸東京店・山﨑:やはり情報発信が大きかったのかなと思います。Webや店頭、店内など、あらゆる広告に力を入れましたし、それを見てやってきた方々がクチコミを投稿して、それを見た方が安心してお越しになるという循環ができたことが良かったのだと思います。

 

大丸松坂屋・平井:SNSではトレンドにもなりましたしね。

 

闇・濱田:これまでに闇が関わってきたイベントの中でも、「XR」「ホラー」「百貨店」の3つのテーマが合わさった企画というのはすごく新しく、意外性もありました。闇のX公式アカウントにもたくさん問い合わせがありましたし、当初から反響の大きさを強く感じていましたね。

 

日本XRセンター・小林:先ほども言ったように、「迷界デパート」ではXRと言わずにコンテンツを売ることができました。こうした大丸松坂屋さんのやり方にXR業界も注目しているだろうなと思いますし、これを機にXR業界のコンテンツの売り方は変わるだろうなと思っていますね。

 

大丸東京店・山﨑:大丸東京店は1日10万人が訪れます。コンテンツを拡散する場、いわゆる「メディア」としてのポテンシャルの高い店です。「迷界デパート」でも当社の新しい可能性の一つを示すことができました。大丸東京店が、新しいもの、面白いものに出会える聖地の一つとして定着していけばいいなと思っています。

 

大丸松坂屋・平井:私も、「聖地化」は大きなテーマでした。JFRグループの中でも渋谷PARCOは、特に情報発信や集客力も高く、さまざまな企画で話題を生み出しています。大丸東京店も絶対にそうした場所になれると思っていました。

 

今後も大丸東京店が、新しい事業を次々と創生していくラボのような場になれたらと思いますので、新たな技術や取り組みの提案をもっとしていきたいですね。東京店はオリジナルコンテンツを横展開していく上でのショーケースになる場所だと思っています。海外への展開を考えても、そのハブになる場所として、東京駅はわかりやすいですからね。

 

報道関係者向け内覧会で「迷界デパート」を体験する、公式先行体験ゲスト「8°世界が変われば、」。若年層に向けた情報発信も強化した

報道関係者向け内覧会で「迷界デパート」を体験する、公式先行体験ゲスト「8°世界が変われば、」。若年層に向けた情報発信も強化した

 

 

――「迷界デパート」は、今後どのような展開を考えているのでしょうか。

 

大丸松坂屋・平井:まずは、2026年9月から日本XRセンターの実店舗で、10月から11月まで松坂屋静岡店で展開します。そこから先は、さらにグループ内の他店舗や他社の商業施設にも展開していきたいです。

 

新たな来店動機を生み出し、地域のお客様との接点を広げるコンテンツとして、大きな可能性があるので、個人的には地方の百貨店や商業施設にも積極的に声を掛けていきたいですね。

 

日本XRセンター・小林:最初に平井さんには、「これは1回限りのイベントではなく、事業として取り組むものですよね」と何度も確認しました。そのたびに「これは事業です」と言い切っていただいたので、私たちも継続的に展開していくことを前提に、しっかりと仕組みを構築しています。

 

例えば、闇さんが手がけたストーリーをさらに発展させ、体験内容をアップデートしていくこともできます。そうすれば、一度体験した方にも「また別の場所で体験したい」と思っていただけるかもしれません。

 

また、4m×6mほどのスペースがあれば1日でセットアップできるため、地方の百貨店や商業施設にも展開しやすい設計にしています。今後、これを事業としてどこまで育てていけるのか、胸が高鳴っています。

 

ヘッドマウントディスプレイや通信環境の進化により、固定の店舗や施設に縛られない、柔軟な事業展開が可能になった

ヘッドマウントディスプレイや通信環境の進化により、固定の店舗や施設に縛られない、柔軟な事業展開が可能になった

 

――「迷界デパート」の展開を振り返って、百貨店発のオリジナルIPにどのような可能性が見えましたか。

 

大丸東京店・山﨑:百貨店には長い歴史があるので、新しいことに挑戦するにはルールや制約も多く、難しさがあると思っていました。

でも今回、社内の皆さんが想像以上に面白がって、応援してくれたんです。新しいことに挑戦したいという思いを持つ人が、実はたくさんいる。そう実感できたことが、今回得られた大きな可能性の一つだと思います。

 

大丸松坂屋・平井:「迷界デパート」を足掛かりに、国内外の百貨店や商業施設へ展開できる、大丸松坂屋百貨店発のオリジナルコンテンツを生み出していきたいです。

 

XRは表現が無限大で、ホラーに限らず、文化や美術などさまざまなテーマに展開できます。僕自身は歴史が好きなので、その場所にまつわる歴史をXRで体験できるようにするのも面白いと思っています。そうしたコンテンツが加われば、「わざわざその場所を訪れる意味」もより大きくなるはずです。XRを活用して、さまざまな体験価値に挑戦していきたいと思っています。

PROFILE

  • 平井 直樹

    平井 直樹

    大丸松坂屋百貨店 DX推進部 デジタル事業開発メタバース担当

     

    2009年パルコ入社。店舗運営、新規事業立ち上げ、エンタメ系の外部出向を経て、現在、大丸松坂屋百貨店のDX推進デジタル事業開発部門にてXR事業関連に従事。

  • 山﨑 裕加

    山﨑 裕加

    大丸東京店 営業推進部 コンテンツ・イベント企画 マネジャー

     

    2017年株式会社大丸松坂屋百貨店入社。大丸札幌店で婦人靴・婦人洋品売場などを経て、催事・イベントスペースの企画やプロモーションを担当。2023年より大丸東京店にて全館の販売促進に携わる。2025年よりコンテンツ・イベント企画マネジャーとして、催事場を起点とした新たな来店動機の創出や館全体を活用したプロモーションに取り組む。

  • 小林 大河

    小林 大河

    株式会社日本XRセンター 代表取締役CEO

     

    2015年早稲田大学国際教養学部卒業後、株式会社日本M&Aセンター入社。M&A業務に従事し、全社年間MVPを獲得、最年少で管理職となる。2020年に渡米後、Potlatch inc.を設立しCEOに就任。インドにも拠点を設立。2023年5月に株式会社日本XRセンターを設立し、代表取締役に就任。XRコンテンツの企画・開発から施設への導入・運営まで手がけ、東京・中野、福岡・キャナルシティ博多で常設XR施設を運営するほか、国内各地へのXRアトラクション導入や企業向けXR開発に取り組む。

  • 濱田 瑠衣

    濱田 瑠衣

    株式会社闇 コンテンツ事業部 プロデューサー

     

    百貨店での法人営業、IT企業、エンターテインメント企業での企画・プロデュース職を経て、株式会社闇へ入社。現在は、企業や商業施設とのコラボレーションを含め、ホラーを軸とした展覧会や体験型イベントなどの企画・プロデュースを手がける。「迷界デパート」では、企画・シナリオ設計からホラー演出、体験全体を貫く世界観設計・ディレクションを担当。